恋愛結婚で苦労した母を見て
かく言う私は1968年生まれのバブル世代。幼い頃から抱いてきた自分自身の結婚観を振り返っても、育った時代の影響をかなり強く受けていると思います。結婚を機に、歌手の山口百恵さんが潔く芸能界を引退したのが小学校6年生(1980年)のとき。「純愛を貫いて結婚するって素敵!」と憧れて、当時相思相愛だった男の子と結婚を誓い合い、小学校の卒業文集に「18歳で結婚する」と書いたくらいです。(笑)
その一方で、父と恋愛結婚した母の苦労もずっと間近で見ながら過ごしてきました。母は厳格な海軍大佐の娘として生まれたので、母の両親はしかるべき家柄の方とお見合い結婚させようと考えていたようです。その反対を押し切って、母は大学時代からつきあっていた自由奔放な父と恋愛結婚をしたのですが、両親が「テレビ局に入社する男性なんて(軽い)」と危惧した通り、父は結婚当初から、女優さんらとずっと浮気を繰り返していたんです。プロデューサーという仕事柄、しかも昭和の時代、「男は浮気するのが当たり前」という風潮もありましたから。
それだけでも辛かったのに、「結婚したら、ずっと家にいろ」という父の意向で、母は入社した会社(現在のリクルート)を辞めざるを得なくなってしまった。母は4年制大卒として初めてリクルートが採用した女性社員だったようです。自身のアイデンティティを求めて仕事を完全には捨てたくなかった母は、父に内緒で、家でこっそり添削の仕事をしていました。そんな姿を見るにつけ、いくら大恋愛をして結婚しても、理解し合える相手とでなければ結婚後に大変な思いをする、とつくづく痛感させられました。
結局、私が大学に入学するのを待って、母は父と熟年離婚。母は50代で産業カウンセラーの資格をとって自立し、父は24歳も年下の女性と再婚しました。父は決して悪い人ではないのですが、恋愛や性の誘惑(ドーパミン系の刺激)に弱いゆえに、癒し系の結婚には向いていなかった。平穏な日常生活を共に過ごすにはやはり不向きな相手だったのでしょう。