しかしから揚げ。みりんと砂糖としょうゆと酒と卵をよく揉み込んで、片栗粉でぱふぱふにして、全部揚がったところで、油を足して高温にして二度揚げするのである。よくできた。そしてよく食べてくれた。

翌日は丸亀かウエストでうどんを食べて、それからロイヤルホストでパフェと思っていたところ、遠出して遅くなり、みんなおなかぺこぺこになって、とにかく近いところでと考えたときに通りかかったのがくら寿司だ。「回転寿司、こないだニューヨークで入ったっ、ここならおいなりさんがあるし、私も楽しいっ」と回転寿司のめったにないところに長年住んでるカノコが叫ぶので、入ったのであるが、いや、思いがけず大成功だった。

まず流れてくる。それを取る。狩りみたいなものである。しかもパネルがある。なんと英語に切り替わる。つまりゲームと同じである。それでレーン側に座った子どもらがパネルの操作も一手に引き受けることになった。今日の挑戦メニューは卵のお寿司。後はいなり、うどんにから揚げ、またいなり。

うに好きのカノコが頼んだうには、しょぼかった。うなぎ好きのあたしが頼んだうなぎは、うまかった。

また行きたいと、子どもらがしきりに言うので、次の日阿蘇に行った帰りにスシロー。挑戦メニューはおしんこ巻。後はいなり、うどんにいなり、またいなり。

昨日と同じじゃないのと言ったら、弟のカズが言った。

「昨日の店にはから揚げがあった。この店にはから揚げがないが、パフェがある」

たしかに。あたしの夢想したすごいパフェじゃなかったけど、パフェはパフェだ。孫とパフェ、たしかに食べた。


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米国人の夫の看取り、20余年住んだカリフォルニアから熊本に拠点を移したあたしの新たな生活が始まった。

週1回上京し大学で教える日々は多忙を極め、愛用するのはコンビニとサイゼリヤ。自宅には愛犬と植物の鉢植え多数。そこへ猫二匹までもが加わって……。襲い来るのは台風にコロナ。老いゆく体は悲鳴をあげる。一人の暮らしの自由と寂寥、60代もいよいよ半ばの体感を、小気味よく直截に書き記す、これぞ女たちのための〈言葉の道しるべ〉。