最初の日は、予定通りにミスド。しかし母親カノコはランチがドーナツというのに抵抗があったようで、まずちゃんとしたものを食べてからということになり、汁そばとホットドッグを注文したところ、汁そばはOKだったが、ホットドッグは、うまそうなのに、孫はいやそうに顔をゆがめて一口かじって、残りはぐずぐず食べないのである。

これには心底むかついた。食べ物に対してその顔はなんだと思った。

孫というのは自分の子じゃない。カノコに全責任は任されておる。と思いつつ、つい、言わずにおられなかったのである。

ばば(あたしはこう呼ばれている。ばーばではない)と約束しよう。ふたつのこと。まず、せっかく日本に来たんだから、毎日ひとつ、新しい食べ物に挑戦する。いいね?

おーけー。

食べ物をリスペクトする。食べたくなくてもへんな顔をしたりしない。いいね?

おーけー。

すなおな子たちなんである。明るい顔でうなずきながら「おーけー」と言う。たぶん「はい」のかわりなんである。

その夜は、うちでから揚げを作ることにした。六年前に帰ってきてからこのかた、揚げ物はやってない。だからまずオイルポットを買ってきた。それからカノコのために刺身。人参の卵とじ。小松菜のお浸し。それから天ぷらは、きす、えび、かぼちゃに茄子。えびと玉葱のかき揚げ。ま、子どもらが手をつけないのは想定内だ。