身寄りのない人の遺留金21億5千万円

引き取る人のいない死者の預貯金の扱いは法で明示されていない。

市区町村の葬祭費の負担が増加の一途をたどり、過去最高となっている。

「引き出し依頼を行ったが、相続人または相続財産管理人以外は引き出せないと金融機関に断られた」(写真提供:Photo AC)

21億5千万円ある遺留金も有効に使おうと2021年3月、厚労省と金融庁など関係省庁は手引をつくり、「遺留金は死者の預貯金を現金化したものも含まれ、葬祭費に充当できる」と記した。

金融機関にも周知したはずなのだが、今回の調査で2021年4月以降でも14市区町村で52件、預貯金が引き出せなかったと報告された。

「引き出し依頼を行ったが、相続人または相続財産管理人以外は引き出せないと金融機関に断られた」

「本店の判断だと支店から断られた」

「厚労省の手引に記載されていない相続放棄の証明書類、相続人の同意文書などを金融機関に求められ、対応困難と判断せざるを得なかった」

引き出しを断った金融機関に総務省がヒアリングしたところ、「預貯金は相続以外で払い出すことは本来、困難。金融機関が払い戻しに応じた責任を相続人から追及されるリスクがある」と弁明していた。