総務省の人口推計によると、日本の死亡者数はここ数年で増加傾向にあり、2022年には150万人以上の方が亡くなったそう。そのようななか、「高齢化と孤立化で無縁遺骨になる可能性は誰にでもある」と話すのは、朝日新聞記者の森下香枝さん。森下さんいわく、「市区町村は遺留金の対応に苦慮している」そうで――。
遺留金使用の高いハードル
総務省が公表した実態調査は、身寄りのない人が亡くなったあとに残した金品を、どう処理するかという問題にも初めて切り込んでいた。
身寄りのない人の「遺留金」は総額21億4955万9637円あり、全国の市区町村に埋蔵金として保管されていたことがわかったのだ。
2018年3月末の時点では約13億円だったので、3年半の間で8億4千万円も増加していた(2021年10月末時点)。
だが、保管する市区町村はルールが定まらない遺留金の対応に苦慮し、宝の持ち腐れとなっている様子が報告書に記されていた。
引き取る人がいない死者10万5千人のうち遺留金が残されていたケースは4万8479件、なかったケースは5万5424件だった。
亡くなった人が現金を残していれば、市区町村の裁量で葬祭費にあてることができるという。
だが、預貯金の口座にあった場合、引き出そうとすると金融機関が相続人の存在を理由に拒むケースが報告書で報告された。