払戻請求に応じる意向
総務省に対し、多くの金融機関は今後、手引に基づき払戻請求に応じる意向を示している。
市区町村は遺留金を使うために相続人を探す調査をするが、地縁や血縁が薄れ、多くは難航している。そうなれば、最終的には遺留金は国庫に納めることになる。
松本剛明総務相(当時)は2023年3月、遺留金を葬祭費として円滑に使えるよう、厚労省と法務省に対し、市区町村、金融機関へ周知するよう勧告した。
厚労省も関係省庁と連携し、相続人の意思確認なしに、市区町村が葬祭費として預貯金を下ろせるよう法的根拠を明示し、改めて周知するという。
死に逝く人が弔いのために残した遺留金が国庫に行ってしまうことがないよう明確なルールづくりをしてもらいたいものだ。
※本稿は、『ルポ 無縁遺骨 誰があなたを引き取るか』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
『ルポ 無縁遺骨 誰があなたを引き取るか』(著:森下香枝/朝日新聞出版)
2022年7月、都内の病院で死去した女優・島田陽子さんの遺体の引き取り手はなく、居住区だった東京都渋谷区が引き取り火葬した。21年度、自治体が遺体を葬ったケースは約8600件に上る。高齢化と孤立化で「無縁遺骨」になる可能性は誰にでもある。その実態と墓じまいの現状を追う。