豊島区在住の女性

「横須賀市の『わたしの終活登録』についてテレビで見て、こうした制度ができれば、わたしも登録したいと思っていました」と5月末に終活登録した豊島区在住の女性(79歳)は話す。

子どもはおらず、数年前に夫を亡くした。有料老人ホームへの入居も考えたが、親族や友人がいる同区へ引っ越し、持ち家のマンションでひとり暮らしをしている。

『ルポ 無縁遺骨 誰があなたを引き取るか』(著:森下香枝/朝日新聞出版)

女性は、親族や夫の遺産を相続しており、海外で学校をつくる事業に寄付もした。

「身内が少ないので、自分が死ぬと財産が国のものになったら困ると思い、元気なうちに遺言書を作成し、そのことも含めて登録しておこうと思った」と語る。

豊島区では緊急連絡先、献体の登録先、遺言書の保管場所などを無料で登録できる。登録カードを持っていると、病気・事故などで意思表示ができなくなった時や亡くなった場合、警察や消防、事前に指定した相手に登録情報が伝えられる仕組みだ。

女性は区から配布された「終活あんしんノート」に遺言書の保管場所や生命保険の受取人など自身の情報を書き込んでいる。

「延命は望まない。自然死でいい。無宗教なので戒名もいらない。夫が亡くなった時に墓じまいをした。夫を散骨して見送ったので自分も散骨してもらいたい」