「何の騒ぎだい?」
阿岐本が顔を出した。
永神が言った。
「アニキ。ちょっとご機嫌伺いに寄ったんだが……」
「そちらにおいでなのは、仙川係長と甘糟さんだね。じゃあ、こっちにお入りよ」
「失礼するよ」
永神が奥の部屋に向かう。
阿岐本がさらに言った。
「誠司。警察の方々をご案内して、おめえも来な」
「はい」
日村は仙川係長に言った。「では、参りましょう」
「奥の部屋って、組長室のことだな?」
「代表の部屋です」
甘糟が言った。
「俺、勘弁してほしいな」
日村は言った。
「では、お帰りになりますか?」
そうしてくれると助かる。
仙川係長が甘糟に言った。
「ばかを言うな。組幹部が集まるんだ。共謀の実態をつかむ、またとないチャンスじゃないか」
虚勢を張っているのだろう。あるいは、よほど手柄を立てたいようだ。