主婦たちは井戸端会議の様相だ。白髪の老人は手持ち無沙汰の様子で突っ立っている。
 日村は車に戻り、田代に電話した。
「今、様子を見てきました。総勢で六人ですね」
「ああ、そのうち二人は、河合さんと山科さんの奥さんだよ」
「じゃあ、ご主人から話を聞いて……」
「そういうことだと思うが、事情は聞いてない」
「何か、我々にできることはありますか?」
「そうだな……。連中、たぶん五時くらいには引きあげるから、誰もいなくなったら、本堂に来てくれ」
「五時に引きあげる……?」
「ああ。夕食の仕度とかあるだろう。夕方には帰宅するはずだ」
「なるほど……」
 追放運動といってものどかなものだと、日村は思った。
「わかりました。うかがいます」
 日村は電話を切った。
 すると、稔が言った。
「駐禁切られたり、不審がられたりしないように、車を移動させます」
「任せる」
 日村は、後部座席でしばしくつろぐことにした。
 

 

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