本屋さんは体験型エンターテインメント

清水:本屋さんって体験型のエンターテインメントですもんね。リアルだからこそ、偶然の出会いも生まれる。

編集:別の出版社で働いていた時、本屋さん主体で販売していた刊行物を、某コンビニエンスストアチェーンで展開したら、一気に販売部数が伸びたことがあって。そのとき検証したら、実はコンビニそのもので売れた以上に、沢山の店舗に置いたことで読者との接点が増えて認識や知名度が上がり、結果として書店販売分の部数も伸びた、とのデータが出たことがありました。そのときに接点の重要性を痛感しましたが、逆に出会いの場である本屋さんが減れば、販売部数が減るのも必然というか……。

清水:本屋さんの売り上げは高いペースのまま下がっているのでしょうか? それとも落ちてはいても、ペースは鈍化している?

大塚:売り上げというか、お店の総数そのものが減り続けているのは間違いない。それゆえに売れる量が減って初版も減る、というマイナスサイクルがまわり続けているのも事実です。ただし先ほども申した通り、落ちるにしても、そろそろ底に到達するのでは、とも考えています。

大塚さん「落ちるにしても、そろそろ底に到達するのでは、とも考えています」(写真:本社写真部)

藤本:書店さんの減り方は、CDショップやレンタルDVD店のそれとはちょっと違うと認識していて。書店さんはなだらかに減り続けているけど、この先もゼロにはなりそうにない。それは書店という業態に、しっかりとしたニーズがあることの裏返し、と考えています。

清水:体験型のビジネスだからこそ、スパッとほかの何かに置き換わらないんじゃないかな。

藤本:ただしんどいのは、改善の努力をしないと、維持すらできない状態にずっと置かれていることで……。良い方に変わるターニングポイントを、少しでも高くとるためのトライアルを続けている、というのが現状です。