書店員さんも幸せになるように
大塚:今回「MUJIN書店システム」導入を進めるにあたり、書店員さんがどんな仕事をしているのか、あらためて聞き取りを行いました。つまりは一日のうち、何の作業に何分使っているか、ということです。すると多くの店員さんが、労働時間の半分くらい、レジの内側に立っていることがわかりました。
編集:半分も。
大塚:もちろんレジに立つといっても、レジ打ち以外にいろいろなことをそこでしているわけですが。でも現実として、場所は縛られている。なのでレジ周りにテコ入れをし、セルフレジと組み合わせたシステムにすることで、その場所から解放され、よりクリエイティブな仕事に時間を使ってもらえるんじゃないかな、と。
清水:POPを書くのが得意・好きという人には、なるべく長い時間POPを書いてもらう…とか? そもそも、得意なものや楽しい仕事と、苦しい仕事を切り分けるのがテクノロジーであって。嫌だな、面倒くさいな、と思うものはAIにやらせればいい。
編集:「人工知能と仕事をする=仕事を奪われる」という発想になりがちですが。
清水:嫌々やっている仕事まで本当に残したいの? という想いはあり。書店員さんが喜びを感じるとすれば、自分の推している作家さんの本が売れるとか、お客さんとのやりとりとか、そういうことなのかな。であれば、よりそれに注力できるというか「ここで働いてよかった」と思ってもらえる方向に進んでほしい。現場が元気になる仕組みになるのが、とにかく第一。
藤本:私は、書店員さんの仕事の影響力を、お店の外にどんどん広げていきたいと思っていて。たとえば店頭のPOPでは、お店に来た人以外は見ることができない。そうではなくどこでも、それこそスマホのむこう側にまで、情報を送るようにしないと。無人書店ではLINEを使う仕組みを設けていますが、これなんかは正にデジタルの入り口を作り出しているわけです。ユーザーにとって、より楽にアクセスできる仕組みに書店側も主体的に変わっていかなければ、と考えています。
清水:デジタルでの接点を意識するのは大事ですよね。たとえば、Amazonは過去の購入履歴を見て、どんどんレコメンドしてきます。でも、そのレコメンドは一方的に押し付けられたものだし、本屋さんに足を運んでいたら、もっと素晴らしい出会いがあったかもしれない。レコメンドに満足して、本屋さんってめちゃくちゃ楽しい場所ということを知らない世代が増えていったとすれば、非常にもったいないですよね。やはり本屋さんは街に残していかなければならないな……。というところで、今回もたくさんの気づきがありました。お忙しい中、ありがとうございました。