七之助 『天守物語』の富姫は46年間、玉三郎のおじさまが演じてらした役。物語の舞台である姫路城で公演を行ったからこそ、実現した演目です。そうでなかったら、畏れ多くて手を出せなかったと思います。

勘九郎 現地では、ほぼ11時間ぶっ通しで稽古。玉三郎のおじさまの熱血指導、本当にすごかった。

七之助 快く演出まで引き受けてくださり、富姫役の僕の指導だけではなく、姫川図書之助(ずしょのすけ)役の中村虎之介の指導から照明のことまですべてを細かく見てくださって。惜しげもなくいろいろなことを教えていただき、僕にとっての宝物となりました。

勘九郎 ちょうど今、歌舞伎座で上演している『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』には、仁左衛門のおじさまが出てくださっています。

父と仁左衛門のおじさま、玉三郎のおじさまが共演した14年前の『籠釣瓶』は本当に素晴らしかったし、いつか自分も、と思っていました。十三回忌追善で七之助と一緒にできるのは本当に嬉しいし、父も喜んでくれているんじゃないかな。

七之助 僕らは、兄弟で立役と女方を演じているのも強み。それによって、演目の幅も広がっていったと思います。

勘九郎 父も生前、それはよく言っていた。中村屋にとって大きなことだから、兄弟仲よくしなさいと。

七之助 そこに兄の長男の勘太郎、次男の長三郎が加わって。

勘九郎 もちろん鶴松をはじめ、中村屋一門の力も大きいね。