応援せずにいられない

黒人社会でも女性たちが声を上げ始めたのはたった100年前だ。戦前の教育を受けて育った母にそれしかできなかったのは仕方のないことだったのかもしれない、私たちは「幸運な時代」に生まれたと言うことなのだろう。

そんな母のもとで育った私だから、ソフィアの男たちへの強い言葉、シュグの型破りの魅力に陶酔し、応援せずにいられない。遂にセリーが男たちに抵抗と否定の言葉を吐いたとき、長年の監獄生活とその後のメイド体験で廃人同然になったソフィアが笑い出し、自分を取り戻すシーンは感涙ものだ。

私たちは私たちであるために、不当な暴力に耐えたり、納得いかない生き方を受け入れてはいけないのだ。そのことをこの映画は教えてくれる。

さて、ミュージカル版とスピルバーグ版の1番の違いは、女優たちの美人度と迫力。セリーは85年版では若いウーピー・ゴールドバーグが演じ、気の毒なほど痩せて弱弱しい。しかし、今回のセリー役ファンテイジア・バリーノは、最初こそびくびくしてるが、ガタイはよし!

1番違うのはシュグだ。85年は「モデル的な美人」のマーガレット・エイブリーだったが、今回はタラジ・P・ヘンソン。迫力や歌のうまさは半端なく、お世辞にも美人と言えないのがいい!

ソフィアを演じるダニエル・ブルックスも同様で、ミスターの息子ハーポに熱愛されるのを謎に感じるほど。(笑) しかし、見ているうちに分かるのだ。「他にこんな女がいるものか!」と。

この映画を見た後、きっと貴方の「美人の物差し」は変わるはず。真剣に生きる女性はひたすら美しく、太っていようが年取っていこうが関係ないのだ。心から納得できる女優たちを是非ご覧あれ!