素晴らしいシーンが加えられている
さて、このミュージカル版には素晴らしいシーンが加えられている。それは、セリーを虐げ続けたミスターことアルバートが、飲んだくれて嵐の沼地で行き倒れ、改心するシーン。
「私にしたことが、きっとあなたに返ってくる」そう予言して去ったセリーの言葉が彼の脳裏をよぎり、惨めな自分の最期を予感したミスターは、遂に神の名を呼ぶ。
「神よ…お救いください。悔い改めます…!」
命根性しぶとく、アルバートは死ななかった。その後移民局からの手紙を見て、セリーへの妹ネティがアフリカにいる事、呼び戻すために大金が必要なことを知る。なんと彼は虐げ続けたセリーの妹ネティとその家族を呼び戻すため、土地を売ることを決意。
ライフルをぶっ放して、セリーを頼ってきたネティを追い払い、その手紙を隠し続けたくせに…と思うが、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」ということなのだろう。「許す」ことでしか平安は訪れないと思わずにいられない、実に深く魂を揺さぶってくれる映画なのである…。必見!
P.S.
この作品を練り上げたのは時間と、スピルバーグの執念だ。今回多くの若い才能を発掘したのも、彼が愛を知る天才である証。このミュージカルを生み出させるために、天は1985年にアカデミー賞を与えなかったのかもね!