ドラマを生み出す力

大谷にはドラマを生み出す力があり、それが観る者を惹きつける。2014年のオールスター・ゲームでは、162kmという、当時の最速記録を叩き出した。

レギュラー・シーズンの試合でも同様の記録を何度も出し、日本のプロ野球界ではマーク・クルーンと並ぶ速球の持ち主として名を馳せた。

2014年のオールスター・ゲームでは、162kmという、当時の最速記録を叩き出した(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

15投球中8球が160km超えという、驚異の記録も出している。

ハリウッドスターのようなルックスと開花していく才能に、大谷の人気は高まる一方だった。落ち着いた態度、礼儀正しさ、個人よりも常にチームを最優先する姿勢などもまた、彼が多くの人々から愛される理由だった。

さらに、日本のプロ野球界の投手らとは異なるスキルを持つことにも注目されていた。

多くの日本人投手は、スピードは控えめでも、打者の意表をつくような球を得意としている。

ところが193センチの長身である大谷はパワー型の投手で、その体躯から繰り出される投球は160kmを超える。