持ち味の「飛距離の長いホームラン」

また、日本人の打者は内野にとどまるシングルヒットが多く、守備をかいくぐって外野に球が出れば御の字とされる傾向がある。

大谷もそういった球は打てるのだが、なんといっても彼の持ち味はその筋力から生み出される飛距離の長いホームランで、試合でもバッティング練習でもそれを見せてくれる。

2014年9月7日には対オリックス・バファローズ戦で10号ホームランを放ち、2桁勝利と2桁ホームランの達成という、1918年のベーブ・ルース以来の偉業を達成し、当然ながら日本人としては初の快挙となった。

この年の日米野球で、大谷は侍ジャパンに選出され、MLBオールスターズとの5試合において輝きを見せた。

第1試合での登板では無失点に抑え、結果チームは2─0で勝利する。第5試合は日本ハムの本拠地である札幌ドームで行われ、大谷は先発投手として出場した。4イニングを投げ、7奪三振するも敗戦に終わったが、160kmに迫る剛速球と鋭く落ちるスプリットは圧巻だった。

日米野球に出場してメジャーリーグのトップ選手と対戦したことで、大谷の知名度は上がることになる。二刀流をこなす日本人選手、大谷翔平の存在に、国際的な注目が集まるようになってきたのだ。

※本稿は、『大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。


大谷翔平 二刀流メジャーリーガー誕生の軌跡』(著:ジェイ・パリス、訳:関麻衣子/辰巳出版)

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