井上祐貴さん
井上祐貴さん
連続テレビ小説『風、薫る』など話題作への出演が続く俳優の井上祐貴さん(30)。芸能界入りのきっかけは、友人からの推薦で受けた「ホリプロタレントスカウトキャラバン」だった。デビューから8年が経ち、昨年は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で純粋に世の中を良くしようという思いが空回りして憎まれ役になるという難役を好演。物語後半をけん引し、強い印象を残した。俳優として存在感を増すなかで「いつかは大河の主演を」と誓う井上さんに芝居への思いやこれからを聞いた。(取材・文:婦人公論.jp編集部 撮影:本社・武田裕介)

負けず嫌いが勝った

6月に30歳になりました。もともと誕生日とかあまり気にしないタイプですが、「30歳だね」とよく言われるようになったので、ふと考えたんです。30代は自分の価値観を変えたいと。自分の考えが凝り固まっている気がしていて。デビューしてからこれまではあまり旅行をしてこなかったのですが、旅に出て自分の考えが変わるような時間も取りたいなと思います。

俳優の仕事を始めたきっかけは2017年、大学3年生の時。「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に友人が応募したことから。それまで全く芸能界への興味はなくて、応募を聞いた時には「何してくれたんだろう」という思いでした。

ちょうど周りは就職活動を始めていた頃で、「面接行ってきた」「内定にちょっと近づいた」とか話していた時期。当時の僕には夢がなくて、強いていうなら美容師かなあなんて思っていたくらい。大学卒業後は美容専門学校に進学しようと考えていました。

なので、友人から「書類選考が通った」という連絡をもらった時も「ちょうど時間があるからちょっと受けに行ってみようかな」という軽い気持ちでした。人前に出るのは苦手だし、絶対向いてないのだけれど、自分が今までやったことのない分野に挑戦してみたいと興味がわきました。

審査の過程では、ダンスや表現の課題が全くできませんでした。それが悔しくて、「できるようになりたい」という負けず嫌いの気持ちに火がついて。「頑張ってやってみて結果が出なかったら自分は向いていないんだと考えよう」と必死で練習して、その後の審査に臨みました。人見知りよりも、負けず嫌いが勝ったんです。

審査員特別賞を受賞したことで、デビューに至りました。両親も喜んでくれましたが、「芸能の仕事やるんでしょ。頑張ってね」くらいのテンションで、特に反対もありませんでした。