(撮影:大河内禎)
20年前、納得できる答えを出せたなら――。死期が近づいたお母様に何度も聞かれた問い。以来、学びを重ね、自問自答を繰り返さずにいられなかった、女優・秋吉久美子さんの胸の内は。(構成:丸山あかね 撮影:大河内禎)

病名と余命はひた隠しにして

母が72歳でこの世を去ったのは、2006年2月のことでした。当時50代だった私も、今年で72歳になりましたが、いまだに喪失感は続いています。

不思議ですね、父を見送ったときは一人の人間が生きて死んだのだと、静かに受け止めることができたのに。母の場合はまるで分身を失ったかのような痛みがあって……、落ち込み方が違いました。

でも、そういうものではないかと思うのです。私が母と仲がよかったというのもあるけれど、そもそも母親というのは、自分を産んで育ててくれた小宇宙のような存在なのですから。

父が肺がんで他界したのは、その3年前です。自宅介護を一手に担っていた母は肉体的に、そして精神的にもダメージが大きかったのでしょう。10キロ以上も痩せてしまい、あの頃に免疫力が一気に低下したのだと私は推察しています。

でも元気だったのです。年明けに受けた国の健康診断の結果はオール優だったと高らかに笑っていました。それなのに……。