顔の魅力を決める<4つの要因>

【1】シンメトリー(左右対称)

シンメトリーな顔ほどその魅力が高くなるというのは、本当の顔と鏡像の顔の写真を合成した顔が魅力的に見えるという実験で実証されています。なぜシンメトリーの顔は魅力的に見えるのでしょうか。

生物の進化的な観点では、適応度の高い遺伝子があることの手がかり、つまり環境変化への対応や健康状態の指標となるからではないか、という考え方があります。ただその一方で、健康の手がかりとはならないという逆の報告もあります。

また、別の考え方では、脳はシンメトリーな物体の方が情報処理を一般化しやすいため、その副産物として、左右対称の顔に魅力を感じるのではないか、というものもあります。

【2】平均顔に近いこと

平均顔が魅力的に見えるというのにも、同じようにいくつかの説明があります。

まず、大勢の顔を集めると、平均の付近に最もサンプルが集まる正規分布になります。そのため、平均顔の目や口、輪郭は一番目にすることが多い形やサイズです。人間には、「よく接するものが好き」という認知バイアスがあるので、平均顔は誰よりもなじみを感じるため、好ましく思えるのではないか、というのです。

また、別の説明では、平均顔に近い顔は、集団が共通して持っている遺伝子をその人がもれなく持っていることを外に示していることになるので、理想的な配偶者として好まれるのではないかとされています。

【3】若々しさ

細胞の老化に伴い、顔にはシミやシワが増えてきます。それは、豊富な人生経験をものがたる味わい深い顔の印象をつくり出します。一方で、若い細胞がつくり出す顔には別の魅力があるようです。

男性は自分の年齢にかかわらず若い女性を好むというのは、マッチングアプリなどのデータを解析すると明白な傾向として表れます。中高年女性の筆者としては、あきれて渋い顔をしたくなるところですが、これを進化心理学的に解釈すると、受胎能力の高い女性を求める配偶者選択行動として理解されます。

【4】第二次性徴の特徴

そして、同様に、二次性徴が顔にもたらす変化も、受胎能力の高さや繁殖力を示すので、魅力的な顔の特徴と考えられているわけです。

二次性徴により、男性はテストステロン、女性はエストロゲンが大量に分泌されるようになります。すると、男性はテストステロンの影響で下顎が発達し、目と眉の間隔が狭い彫りの深い顔になります。一方、女性はエストロゲンの影響により、唇や頬がふくよかになります。