「私が大黒柱になって家族を守らなきゃ!」

父が出演するはずだったコンサートのステージに立った時、「父が隣にいるような気がする」みたいなことが起こるのかなと、ちょっと期待していたのですが、実際、父はどこにもいませんでした。

ところが歌い始めた瞬間、びっくりしました。父は自分の中にいたんです。声が勝手に出るような感覚で、今まで出なかった声が出たり、自分の声から父のソプラノサックスが聞こえたり。自分の細胞ひとつ1つに父が宿っているような気がしました。

他にも、父を受け継いだと思う瞬間があります。父は食欲旺盛な人で、食事中家族が食べきれない時は代わりに食べてくれたのですが、父が亡くなってからは、私がその役目を担うように。(笑)

今までは硬くて開けられずにいたビンの蓋も、自分で開けられるようになったり、かなり重いソファーも持ち上げられるようになったり。きっと、自分でも気づかないうちに「私が大黒柱になって家族を守らなきゃ!」と強がっているのかもしれません。

平原さんちのコンサート(2011年)。左から、平原綾香さん、父・まことさん、姉・AIKAさん