果てしない「なにわワールド」

東京に移り住んで何十年経った人でも、コッテコテの関西弁を1ミリも崩さず暮らしている人は多い。野球人にはかなりかなりかなり多い。

そして関西人同士のセンサーが作動すると一瞬にして東京の言葉から関西弁に切り替わり、そこに果てしない「なにわワールド」を拡げ始めるのだ。

うちの夫は自らを「標準語と関西弁のバイリンガル」と称しているように、臨機応変に言葉のチャンネルをパチパチ切り替えている。

普段は「先ご飯食べちゃってー」というような夫も、圧倒的に、怒ってケンカモードになると何を言っているのかわからないガルガル巻き舌の関西弁だ。
「なに言うとんのか、こるるぁあ!!」
私が夫と絶対に口ゲンカしないと決めたのは結婚して間もなくからで、これが理由だ。
こちらは冷静に、叱られながらお給料をいただきながら「喋り」を修行した身。
凄んだ勢いで放つ言葉にあまり深い意味はない、と最初から応戦しないことにしている。
でもやっぱりまくしたてられると、怖い。

そんな、言葉がまったく違うようなところへ1人でやってきた息子・翔大は、やはり大阪の学校や地域に馴染むためなのか、喋り方があっという間に変わってしまった。
地元の人が聞いたら違和感満載の関西弁を喋り出したのは、大阪に行って割とすぐのことだった。