「視力はいいけどよく見えない」

コントラスト感度も視る力に関わっています。

コントラストは明暗の差のことです。視力表は白と黒のはっきりしたコントラストでできています。

これに対して、日常生活はそんなにコントラストははっきりしていません。日常生活で見るものは、淡い文字だったり、淡い色だったりしますね。それを見分ける能力がコントラスト感度です。

コントラスト感度が低下するのが白内障の症状の1つです。そのため白内障の患者さんには、コントラスト感度の検査をすることがあります。

それから色覚。色を判別する能力です。

環の切れ目を判別できる能力だけを医者は視力といっています(写真提供:Photo AC)

色覚多様性(かつての色盲や色弱)といって、特定の色の判別が困難な人がいますが、色の判別もまた見るための能力の1つです。

日本人の場合、男性では20人に1人、女性は500人に1人の割合で、色覚多様性の人がいるとされています。

視野や実用視力、コントラスト感度、色覚……。こうした要素をすべて合わせて見るための能力ができています。

そのため「視力はいいけどよく見えない」という表現が成り立つわけです。