視力検査の答えはマルかバツだけ
執筆のための取材の際、視力検査のとき、よく見えないので適当に答えることがあるけど、それで正確な視力が測れるのか? という質問を受けました。
それに対する答えは、「それでよい」です。その理由の1つは、医者としてはその程度の情報が得られればよいからです。
医者は視力だけで診断していません。あくまで視力というのは、目の状態を知る判断材料の1つでしかないのです。
もう1つは、適当に答えたものがいくつかあったとしても、データにはなりうるということです。
視力表には、例えば0.1であれば、0.1のランドルト環が5つあります。そして5個のうち3つ正解であれば「見えている」ということになっています。
適当に答えて3つ正解というのは確率的にかなり厳しいですね。もしかして、3つ当たることもありえないことではありませんが、そこまで確率が低いところにこだわってもしかたがありません。
患者さんから、ぼんやりと見えているときは、見えるといったほうがよいのか、見えないといったほうがよいのか? という質問を受けますが、その場合は「見える」といわなければなりません。
何となく見えているけどぼんやりしてよく見えないから「見えないといっておこう」とか、患者さんが勝手に判断していたら、医者としては正確な診断ができなくなってしまいます。
それこそ、何のために検査しているのかわからなくなってしまうので、ぼんやりとでも見えているのなら、「見える」と答えてよいのです。
患者さんの気持ちとしては、くっきり見えているところまでが視力だと思っているようですが、医者としては環のどこが切れているか認識できればそれでかまいません。
そもそも「はっきり見える」というのは患者さんの主観にすぎません。それを基準にして答えていると、治療に役立つデータにならないのです。
ですから、みなさんが視力検査を受けるときは、見えるかどうかギリギリのところまで答えるようにしてください。
※本稿は、『名医が教える 新しい目のトリセツ』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
『名医が教える 新しい目のトリセツ』(著:平松類/エクスナレッジ)
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