「やはり初めて観た時、〈難しかった〉〈よくわからなかった〉となるのは絶対に嫌なので、面白くて興奮していただけるもの、記憶に残るものをお届けするよう心掛けています」(勘九郎さん)

七之助 巡業では毎回トークコーナーから始まるのが恒例。

勘九郎 演目の説明や今後に向けてのお話などをするほか、質疑応答の時間があって、これが僕たちも楽しみなんです。

七之助 お客様から「ここにぜひ行ってほしい」とか「これを食べてほしい」といった提案をいただいたりすることも。その情報をもとに、兄と食べに行ったりもしています。

勘九郎 巡業中は、ほぼ毎日移動。42歳になって、「移動が大変」と感じるようになりました(笑)。最近ぎっくり腰になったこともあり、腰痛が……。でも「役者は3日やったらやめられない」とよく言うけれど、不思議なことに板の上に立ってお客様の拍手や笑い声を受けると、疲れが吹っ飛ぶ。

七之助 今回の巡業先には、愛媛の内子座や熊本の八千代座、岐阜の相生座など、古い劇場も含まれています。父が香川・琴平町の金丸座の建物を見て、「芝居小屋は芝居で息を吹き込まなければ、いつかなくなってしまう」と強く思ったことから、紆余曲折を経て、金丸座でこんぴら歌舞伎ができるようになった。

父の襲名時にも各地の芝居小屋を回らせてもらいましたが、ホールで演じるのとはまた違った魅力がありますね。