記憶に残るものをお届けしたい
勘九郎 トークコーナーで毎回、「生で初めて歌舞伎を観る方、手をあげてください」と言うと、7割くらいの方が手をあげる。やはり初めて観た時、「難しかった」「よくわからなかった」となるのは絶対に嫌なので、面白くて興奮していただけるもの、記憶に残るものをお届けするよう心掛けています。
七之助 それをきっかけとして、一人でも多くの歌舞伎ファンが生まれてほしい。それが、歌舞伎の未来に繋がるので。
勘九郎 20年に新型コロナという私たち全員の敵が現れて、芝居は不要不急なものだと言われました。その危機はなんとか乗り越えたけれど、その間に歌舞伎から離れたお客様がなかなか戻ってこない、という現実があります。
七之助 確かにそれはあるよね。
勘九郎 それに今年は、お正月からいろいろなことがありました。去年、巡業で訪れた石川県と富山県も地震の被害に遭って……。お世話になった人たちや見に来てくださった方々が苦しい思いをされている。お正月に起きた北九州・小倉の火事では、僕らが小倉に行くたびに食べに行っていた中華料理店が全焼してしまいました。でも僕たちは、舞台の上から発信することしかできません。
七之助 おこがましいかもしれませんが、演じ続けることでみなさんを応援するのが僕たちの仕事であり、生きがい。そして、僕たちが諸先輩方や父から教わったことを、次の時代に繋いでいかなくてはいけない。
勘九郎 この先も僕たちは、父が生前に築いてくれた船に乗って、一生、信じた道を進んでいきます。
『陽春歌舞伎特別公演 2024』は3月26日~4月1日、東京・千葉・宮城など、全国6ヵ所で上演(勘太郎さん、長三郎さん出演)
『春暁歌舞伎特別公演 2024』は、4月4~24日、福岡、岐阜、大阪など全国15ヵ所で上演
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