5000円のランチから。半月の器にはおかずがぎっしり。和風コロッケは蟹クリームコロッケを醬油ベースのソースで食す、父から受け継いだ人気メニュー。左下の栗の渋皮煮にはレモンの酸味を加えた白和え地を添え、明石鯛は黒ゴマ焼きに。香りや味でメリハリをつけ、焼きたて、揚げたてが供される。お造りの本マグロとイカは、納豆醬油と造り醬油で。ほかにつきだし、煮物椀、和え物などが付く

 

美味を極めた浪速の“喰い味” を

2009年まで33年間、大阪・島之内で愛された「㐂川(きがわ)昇六」の名を受け継ぎ、この3月、靱(うつぼ)公園の南に開業した割烹。「父が長年やってきた仕事と、私が考えた新しい料理を楽しんでもらいたい」と、息子の下田正人さんが主となり、父・昇さんと新たなスタートを切った。

料理は大阪のうまいもんにこだわり、浪速の伝統野菜や大阪近郊の食材で作る味わい深い“喰(く)い味”を提供。関西では昔から“京の持ち味、浪速の喰い味”とよく言われる。素材の持ち味を生かす京都に対して、大阪の喰い味は食べた瞬間に美味しいと感じることを重んじる。まったりとしてどこか懐かしさを感じさせる、創意と工夫を凝らした料理が特徴だ。

夜の1万円コースから。煮物椀の鱧ひろうすと松茸の薄葛仕立て。夜はお酒に合う珍味もあり、8〜9品で構成

 

昼は女性客を意識して考えたという料理を4品出し、続いて見た目も味も華やかな焼き物と揚げ物の盛り合わせが登場する。赤鶏のせせりのサラダ仕立てや勝間南瓜(こつまなんきん)のベーコン焼き、イタヤ貝の真挽粉(しんびきこ)揚げ、粟麩田楽など、手間をかけた料理で、魚、肉、野菜をバランスよく味わえる。

大いに食事を楽しむ、食い倒れの街・大阪ならではのごちそうづくし。「とにかく喜んでもらいたい」と、うまさでも量でも満足させる心意気がなにより嬉しい。