解釈の仕方がグラグラ定まらない

まず子どもの単語の使い方は、大人から見ると、ヘンに限定されている場合があります。たとえば「家の窓から見た車にしか『ブーブ』と言わない」といった具合です。

同時に、単語が、あまりにもさまざまな対象に使われすぎる、ということも見られます。つまり単語の意味が広すぎるのです。

たとえば、散歩の途中で見かけたチワワのことを「ワンワン」と教えたら、チワワだけでなくすべての犬種、さらには、猫や熊のぬいぐるみもすべて「ワンワン」になってしまったりします。

大人の方は、子どもにその対象を示して、「ブーブだね」とか、「ワンワンだよ」と教えれば、それでもうその単語の意味はわかってもらえるものと期待しています。ここで例に挙げた「ブーブ」や「ワンワン」の事例でも、子どもは、その単語をその対象と結びつけることには成功したようです。

しかし、その単語の使い方を見ていると、狭すぎたり、広すぎたり、解釈の仕方がグラグラと定まらない感じです。どうしてこのようなことになってしまうのでしょう。

『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』 (著:針生悦子/中公新書ラクレ)