どこがすれ違っているのか見つめ直す

そして、冷静になって、自分は親のどのような行動に対してイライラしてしまうのか、なぜイライラしてしまうのか、を考えてみてください。通常は、自分の想定している通りに行動してくれない、振舞ってくれない、ということが原因である場合が多いようです。

認知症の親御さんとあなたの考えのどこがすれ違っているのか、すれ違っているのはなぜなのか、を考えてください。

『認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(著:佐藤眞一、島影真奈美/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

例えば、お風呂に入ってもらおうとして、そのことを伝えても、嫌がって入ってくれないという場合、なぜお風呂に入ってくれないのか、お風呂を嫌がるのか、を考えてみてください。そもそもお風呂に入るということの意味がわからないのかもしれませんし、お風呂に入ってもどうすればよいのかがわからずに戸惑ったという経験が記憶に残っているからかもしれません。

「お風呂に入って」と声をかけられる前にゆったりとした気持ちでいたのに、別のことをしろと言われて、せっかくの落ち着いていた気持ちを邪魔されたと感じたからなのかもしれません。

イライラさせられる行動の前後を、冷静になって観察する習慣をつけると、親の不可解な行動の意味が、なんとなくわかってくるものです。認知症の人の言動にも、必ずその人なりのなんらかの理由があるのです。そのことを考えるようにすると、徐々にイライラする回数も減ってくると思います。