「多感な時期のいじめは、本当につらかった。乃木坂になったおかげで地元の変な連鎖から抜け出すことができて新たな自分になれた」(生駒さん)

多感な時期のいじめで感情を消して

生駒 そこが同じなのは私です。学校には行けていたけれど、いつ行けなくなってもおかしくなかった。小学校時代の多感な時期のいじめは、本当につらい。私はもともと性格的に前に出るほうではないんですが、昨日まで仲良くしていた子が急に無視してきて、またある日、別の子をターゲットにしていじめる、といういやな連鎖が続きました。高校生デビューするまで、田舎ではそんな人間関係がベースだったんです。今、思い起こして、どうしていじめられたんだろうと考えると、私がダンスをやっていて、ちょっとうまくて、ちょっと目立つところがあったのかなと思います。

前田 嫉妬されちゃったのね。

生駒 大人になった今だから「あ、私がかわいかったからいじめられてたんだ!」っていう風にも思えるようになりましたが…。(笑)そのときは、なにをどう考えればいいのかわからず、図書室に逃げていました。でも、乃木坂になったおかげで、地元のネガティブな連鎖から抜け出すことができて、新たな自分になれたと思えたのはうれしかったです。それまでは、感情を消して過ごしていましたから…。

まいちゃんは、おばあちゃんの家で過ごしたわけですが、そういう選択肢もあったんだなあと今なら思えます。私は学校を休むという選択肢を除外していたので。     
美波里さんとおばあちゃまとの関係は、まいちゃんと同じですね。

前田 そうねえ。やさしい祖母でしたからね。
でも、たった1度だけ、叱られたことがありました。なぜ、叱られたのかは、今はまったく覚えていないんだけど、たぶん私がなにか悪いことをしたか、言うことをきかなかったんでしょう。祖母がそこにあった灰皿を投げたんです。

生駒 そんなに激しく叱られたのに、なぜ叱られたのかは覚えていないんですか?

前田 そうなんです。激しく怒っている祖母の姿があまりにもショックだったんでしょうね。
怒るのは祖父だと思い込んでいて、祖母はやさしいと決めつけていたので、ああ、怒るんだと本当にびっくりしました。でも、そのたった1回でしたね。

生駒 おじいちゃま、おばあちゃまに厳しく育てられたとはいえ、鎌倉での暮らしは、美波里さんにとって、いい思い出しかないんですね。なんだかうらやましいです。

前田 そうね。鎌倉の自然も、私を育ててくれました。
舞台って、たいていがビルの中でしょう? 舞台が始まると、鏡に向かってお化粧して、舞台に立って、また落として、の繰り返し。だから、舞台が終わると自然の中に行きたくなるんですよ。
時間ができると軽井沢に行ったり、友だちを誘って外に出ます。

生駒 私は秋田出身ではありますが、原宿をはじめ、都会は大好きです。

前田 まだ若いのよ。(笑)