受給額の低さにがっかり

文枝さん、投資は? 「してません。よく分からなくて」。周囲でも新NISAの噂は聞きますが、自身ではまだ何もしていません。「親が元気だから今は好きにできますけど、母も兄も亡くなって私1人になったら、今よりもっとシビアになるでしょうね……。自分の先々のことも考えないといけないんだろうな、とは思います」

年金について考えると、さすがにちょっと心配です。厚労省から送付されてくる「ねんきん定期便」を見ると、「これだけ働いてきて、これだけか~」と、受給額の低さにがっかりしてしまいます。

20歳から40年間ずっと働き、国民年金も40年間かけてきました。それでも年金の受給予定額は多くありません。会社の男性社員が、「地方は物価も安いけど賃金も安い。年金で手取り20万円をもらおうと思ったら、年収700万円で40年掛けないといけないから、ここじゃ無理だ」と嘆いていました。

男性ですら無理なら、女性はなおさらです。「今は給料があるからいいですけど、退職したら月々いくら入るか、計算してみなくちゃ」

幸い、以前15年勤めた建設会社には、企業年金基金(年金の3階建て部分)があります。月々数万円としても、プラスαがあるのは助かります。さらに文枝さんは当時、ゆうちょの10年確定個人年金にも入っていました。

1990年代はまだ、生命保険は「家族を養う男性のもの」という意識が強く、高額の終身保険や個人年金保険に入る女性は多くありませんでした。

でも、転ばぬ先の杖。生保レディーに「個人年金はやりなさい。銀行の定期預金と同じで、積み立てておくだけだから」と勧められるまま入ったのですが、おかげで、文枝さんは60歳から個人年金を受け取っています。70歳までもらえます。「個人年金は、やっといて良かったです。お金はあっても困りませんもんねえ~」