目下最大の懸念材料は母
もちろん終身保険にも入っています。「結婚は向かないと思っていたので。する気もなかったし」、こちらも勧められて20代で入りました。ただ、転職後に、知り合いに頼まれて別の終身保険に入り直すため、解約してしまいました。
「今考えるともったいないですよね~。昔の保険は利率が良かったから」。いま入っている終身保険は、掛け捨てのような、介護保険やがん保険などの特約が厚めについたタイプです。「結婚しないなら、死んだ後に保険金が出ても意味がない。葬儀代の100万円だけあればいい」と思ったからです。
でも、特約は5年ごと見直しで、年を取るほど保険料は上がります。同世代の女友達が県民共済で病気や介護に備えていると聞き、県民共済に掛け替えたほうがお得かしらと、いま思案しているところです。
文枝さんの場合、目下最大の懸念材料は、同居している母です。かつては父の役割だった“大黒柱”は、いまは文枝さんが担っています。食事は母が作ってくれます。肉や魚を焼くといった簡単な料理ですが。
文枝さんが夜に友達と予定がある時はカレンダーに書いておくと、母は1人で勝手に夕食を済ませます。主婦の仕事に慣れているせいか、独りにしても文句は言われません。互いに独りで過ごすことが好きなので、過干渉はされません。それが同居人との余計な衝突を回避するコツでもあります。
一方で、車を出すのは文枝さんの仕事です。母に頼まれて、病院や買い物、友達との外出時の送迎をします。近くで独り暮らしをしている兄からは、定年後は自分も母の送迎をすると言われていますが、あてにはしていません。
時折、兄が週末に遊びに来ると、母は張り切ります。自分のお金で大量に高級な食材を買ってきて、兄の好物を作ります。息子が娘よりかわいいのは、終生変わらない女親の習性かもしれません。