とにかく足の痛みを軽減しなければはじまらないと、探しまくったら新体操用の膝当てがみつかった。薄手で装着しても表には響かないようだし、これはいいと注文してみた。すぐに届いたが、これがあまりに小さくて私の太い足になかなか入らない。

無理やり膝までずりあげてみたが、とにかく膝をガードしているというよりも、膝および、上下の肉を締めつけているといったほうがいいサイズだった。考えてみれば新体操のお嬢さんたちはあの細さなのである。一時は、選手たちの痩せすぎが危惧されていたような競技である。そんな極細の人たちが足につけるものが、古稀が目の前の私の太い足に入るわけがない。

肘当てにはちょうどよさそうだったが、その用途は特にないので、色と素材は満足しているのにと、残念でならなかった。

 

もしかしたら茶道関係で何か扱っているかもと、裏千家の茶道の本をたくさん出している淡交社のサイトを見たところ、新製品で「楽々正座くつした」というものを売っていた。正座のときに体重がかかる、すねと伸ばした足の甲も痛いので、梅子さんの分も含めて、思わず3足セットを2つ買ってしまった。足の甲が痛くなくなるだけでもましだろう。ついでに膝当てもあったので、それも注文した。

この会社のサイトには「楽々正座くつした」をはじめ、空気を入れて使う正座椅子もあったほどだから、茶道を学ぶ多くの人が足の痛みに悩んでいる証拠だろう。

私は特に膝自体にはトラブルがないので、すねや足の甲が痛くなければ、正座をするには問題がない。畳生活の昔の人は、足がしびれたりしたのだろうかと想像した。

『老いてお茶を習う』(著:群ようこ/KADOKAWA)