根性を頼みに無理やり認知作業を続けても成果は望めない

さらに、学習に及ぼす空気環境や温度・湿度などの環境の影響を調べた研究もあります。

建築分野の授業での学習において、学習者の主観評価(空気環境が授業の理解度を低下させるかなど)と理解テストによる客観評価から、空気の汚れやよどみ、におい、ほこりっぽさといった空気環境の悪さ、そして不快な温度・湿度などが、主観評価にも客観評価にも悪影響を及ぼすことがわかりました*2。

温度や湿度と言えば、蒸し暑い日本の夏は、空調を使わない限り、頭がよく働かないことを多くの人が経験しているのではないでしょうか。

暑さで体温が上昇すると、体内の熱を外に逃がすために皮膚の血管が拡張し、汗をかきます。すると、血液の水分量が減り、血圧が下がって脳に送り込む血液量が減少してしまいます。その結果、頭がぼんやりして働きが悪くなるのです。

こうした場合、我慢は禁物です。根性を頼みとして無理やり認知作業を続けても、成果は望めないでしょう。

『メタ認知-あなたの頭はもっとよくなる』(著:三宮真智子/中央公論新社)