「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「メタ」とは「高次の」という意味で、つまり認知(記憶、学習、思考など)を、高い視点からさらに認知することを指します。三宮真智子大阪大学・鳴門教育大学名誉教授によれば「メタ認知は自分の頭の中にいて、冷静で客観的な判断をしてくれる<もうひとりの自分>。活用次第で頭の使い方がグッとよくなる」だそう。先生の著書『メタ認知』をもとにした本連載で、あなたの脳のパフォーマンスを最大限に発揮させる方法を伝授します!
学習に不向きな環境には案外気づかない
私たちは、たとえ学習に不向きな環境であっても、慣れてしまえば、認知活動への負の影響をあまり感じなくなります。
たとえば、いつも騒がしい場所で勉強していると、それが当たり前になってしまい、騒がしさゆえに頭の働きが妨げられていることに気づきにくくなります。
このように、主観的には環境の負の影響を感じなくとも、実際には認知活動への妨害効果が生じている場合が多々あります。
ある研究では、ニュースの内容を覚えておいて後で問題に答えるというテストの成績が、空調音や会話音といった騒音によって下がることが示されました。しかも、同じ騒音であっても、人が会話をしている音声の方が単純な空調音よりも妨げになりやすく、よりいっそうテスト成績が下がることがわかりました*1。