情報提示の順番

原文と訳例を比べてみた時、日本語の文の情報提示の順番と英語の文の情報提示の順番がそれぞれ以下のようになっていることが分かります。

日本語
彼は→マッキン~べき →製品や技術を →生み出しました。
[誰が]→[どんな]×3 →[何を]   →[どうする]

英語
he came up with amazing products that…iPad
[誰が]→[どうする]→[どんな]→[何を] →[どんな]×2

日本語を聞いたり読んだりしている場合は、[どうする]に当たる動詞が最後にくることに加え、出てきた時点で関連するほぼ全ての情報が出そろっているため、ゴールに到達したと一息ついて安心するというところがあります。

一方、英語での[どうする]に当たる部分はその後の流れを占う文の中核の起点であり、使用されている動詞の性質を見極め、次に続きそうな形に意識を向けなければなりません。

今回の英文で言うと、came up with「思いついた、提案した」という言葉が出てきた時点で「何を?」という方向に自然に頭が動くようにしておく必要があるということです。

各パーツに関しては日本語の置き換えによるサポートを大いに活用してかまわないと思います(写真提供:Photo AC)

また、その[何を]に当たる「製品や技術」のところも日本語と英語の違いが大きく出ている箇所です。

この「製品や技術」がどういうものかを説明する語句が日本語では全て前に置かれているのに対し、英語では「驚くべき」に相当するamazing だけが前に、残りの2つは後に配置されていることが分かるでしょう。

日本語の場合、名詞を説明する語句は全て名詞の前に置かれるため、名詞が出てくればその名詞句のゴールということで一息つくことができます。

しかし、英語では名詞の後ろから説明を加える後置修飾の形が発達しているため、ここでも、名詞を見た段階でその性質を見極め、次にくる流れを予想するきっかけとしなければならないのです。

amazing products and technologies までは日本語と同じように理解するとして、そこで安心するのではなく、「どういう性質の?」とか「具体的にはどのような?」という方向に頭が向くようにしておくということです。