『あした輝く』は1972年に『週刊少女フレンド』で連載開始。ヒロインは引き揚げの途中で夫とはぐれ、流産するなど、波瀾万丈の人生を送る(図版提供◎里中プロダクション)

大好きな漫画を馬鹿にされて

私は、1948年1月生まれ。ベビーブームの第一世代です。高校に入るのも大学に入るのも就職するのも「狭き門」だと、競争をあおられていました。

漫画と出会ったのは物心つく前のこと。母が買ってくれた本の中にキツネを主人公にした漫画があり、私はセリフを覚えて妹に読み聞かせのように語っていたそうです。小学校に入る頃には、書店で手に取った雑誌の中に、手塚先生の『とんから谷物語』を見つけ、絵の美しさと物語の面白さに惹かれました。

そこから、手塚先生だけでなく、ちばてつや先生、石ノ森先生などの作品を探すようになります。活字も好きだったので、学校の図書館で少年少女世界名作文学全集やギリシア神話、図鑑を読んでいました。今も、少しの時間があれば読書に勤しむほどの、本の虫です。

やがて貸本屋さんに通うようになり、お年玉やお小遣いでせっせと漫画本や雑誌を借りたり買ったり。自分の本棚に大好きな漫画本を並べ、毎日眺めていました。わたなべまさこ先生、水野英子先生といった少女漫画の大先輩の作品に親しんだのもその頃です。

ところが時代は「悪書」追放運動が盛んな頃。漫画なんて読んでいたらロクな人間にならないと、大人たちから言われていました。私の大好きな『鉄腕アトム』も、「ロボットが感情を持つなんて非科学的だ」と馬鹿にされてね。

私の母も理解してくれませんでした。しまいにはテストで1問間違えるごとに、漫画を1冊捨てると宣言されましたよ。