同年代の漫画家との絆に支えられ
私の漫画家人生は順風満帆だったわけではありません。激務がたたったのか、20代の後半には熱が出て震えが止まらなくなりました。病院に行くと、「腎盂炎(じんうえん)」との診断。20代の終わりには生理でもないのに出血が止まらず、「卵巣嚢腫(のうしゅ)」と言われて。片方の卵巣は腫れあがっていたため、手術で取らなければなりませんでした。
30代になって、体調不良が続くので、検査をしたら子宮頸がんでした。当時は、子宮と卵巣の全摘出が一般的な治療。しかし、子どもが欲しかった私は、医師と相談して子宮の一部切除を選択しました。結局、そうやって残した卵巣と子宮も、更年期が近づいた頃、腫れて癒着した結果、全摘出することになってしまったんです。
『天上の虹』が終盤に差し掛かった頃には、膵臓の膵管に腫瘍が見つかり手術しました。最近はめまいや動悸に悩まされています。仕事はずいぶん減らしているのですが、健康にはほど遠い。
でも、長く生きていればあちこち悪くなるのは当たり前。何しろ、元気でも病弱でも人間は必ず死ぬ。致死率100%です(笑)。いつ死ぬかわからないから、みんなあれこれもがくのでしょう。
同年代の漫画家の存在はありがたかったですね。仕事をお休みしていると、「体でも悪いの?」と、何人も連絡してきてくれて。「実は……」と言うと、さまざまな医師を紹介してくれるんです。もともと漫画家同士の仲は悪くないんですよ。みんな自分の作品のことで精いっぱいで、ライバル心なんて抱くエネルギーもありませんでしたから。むしろ雑誌を盛り上げる同志というか。
1本ヒットが出れば、発行部数が跳ね上がるでしょう? あまり売れていないと感じる時期は、「誰かヒット出して! 雑誌が廃刊になっちゃう」とお互い応援していました。
仲間とは今でも交流しています。この1週間でも、美内すずえさんや庄司陽子さん、池田理代子さん、一色まことさんと連絡を取り合いました。最近は、お互いの体のことが話題のメイン。昔は資料の貸し借りだったのにね。(笑)