念のために部分切除をして細胞を調べ、悪性であると判明したのを受けて、12月に右乳房全摘手術に踏み切りました。全摘手術と聞いたときは先生と夫の前で思わず号泣。受け入れることができずにいたのですが、「確実に命が助かる手段をとりましょう。幼い娘さんを残して死ねないでしょう?」という先生の言葉に深く納得し、決断したのです。

全摘手術とともに、再建に向けてティッシュ・エキスパンダーという器具を挿入し、皮膚が伸びるのを待って、2015年10月にシリコンを入れる再建手術を受けました。そして翌月、これで治療が一段落したというタイミングで乳がんであったことを公表したのです。

 

ジェットコースターのように気分が浮き沈み

当時は一日一日を過ごすのに必死でしたが、改めて振り返ってみると長く険しい年月でした。がんになってしまったという衝撃や術後の痛みもさることながら、ホルモン治療の副作用が厄介なのです。ホルモン治療をすると更年期障害のような症状が出やすくなって、さまざまな不定愁訴に見舞われます。

私の場合、ホットフラッシュが始まりました。それからイライラしたり、ハラハラしたりと情緒不安定になって、「どうして私が」と理不尽な思いに苛まれたり、「私はこれからどうなるのだろう?」という不安に心を乗っ取られて眠れなくなったり。

いまでこそ感情をコントロールできるようになりましたが、当初はジェットコースターに乗っているようでした。

仕事はずっと続けていたので、外では元気で明るい自分を演じ続け、家に帰るとその反動でどっと疲れてしまう。夫に八つ当たりすることや、甘えてくる娘を受け止めきれないこともありました。

すると今度は激しい自己嫌悪に陥るといったことの繰り返し。私の苦しみは誰にも理解してもらえないという孤独感や疎外感が募り、といってどう癒やせばいいのかわからず、うつうつとすることもありました。