アンダーヘアの脱毛は終活の第一歩

「若い女性スタッフさんに担当してもらうのは屈辱的な気がして、正直、嫌でした。だからベテランのスタッフさんを求めて、老舗のサロンへ行ってみたんです。狙い通り落ち着いたベテランのスタッフの方がいて、『介護されることを想定してご来店なさる方はとても多いです』と言ってくれたのでホッとしました。若い男性の介護士さんにお手入れをしていないアンダーヘアを見られるのが恥ずかしいという人や、お嫁さんに汚いと思われたくないという羞恥心、プライドから施術を受ける人もいると逆に教えられて。スタッフの方と話しているうちに、脱毛の気持ちが固まりました」

とはいえ、アンダーヘアだ。施術後の夫の反応は気にならなかったのだろうか。

「何十年もセックスレスなので、夫にどう思われるかなんて心配は不要です(笑)。でも、女友達と温泉旅行へ行ったときなどにギョッとされてしまうかもという危惧はありました。そこでIラインとOラインだけを脱毛し、正面から見えるVラインは整える程度にしたんです。私の場合、料金は8万円ほどでした。施術を終えたとき、これで、自分がいつどうなったとしても安心だと思いました。私にとってアンダーヘアの脱毛は、終活の第一歩だったんですよ」

脱毛は奥が深い。今回登場してくれた4人の女性に共通しているのは「諦めない」という精神だった。第二の人生を謳歌するため、尊厳を保つため、コンプレックスを手放して運命を切り拓くため、美しく人生を閉じるため……。

健康寿命が延びた今、脱毛は若い人の専売特許などではなくなっているのだ。今後、ますます熟年世代にも広がっていくことだろう。


人生後半で「脱毛」を決意した理由
【1】「お母さん、ひげが生えてるよ」と言われ…
【2】「襟足が汚い」の一言がトラウマに