「アチャー」を「結果オーライ」にしてくれる長期投資
親子でも何でもないその人たちに、僕のこんな説教くさい話は聞いてもらえっこないね。はい、やめときます。
そういう「アチャー」と思いがちな中において、「結果オーライ」とは下の絵のようなことだ。
このAという、Bから見たら「アチャー、やっちゃったなー」というタイミングで株式を買ってしまったとすると大失敗だよね。
Cまでの期間で考えるなら、AでなくBで買うことが決定的に重要だ。
でもCの段階で売ることなどハナから考えないDまでの長期で構えられるなら、AだろうがBだろうが大した違いではないとなる。
Bで買えずにAで買ってしまった短期でのタイミングの失敗も「結果オーライ」になる、というのはこういう意味。
今後1年間の積立がずっとダメダメなマーケットの中で行われるとしても、そこから1年後でなく3年後、3年後でなく5年後などと長く構えられるのなら、投信の基準価額は買値よりも上にいる可能性は一般に高いはずだ。
もしDが5年どころでなく10年、20年後だとすれば、今は重大に思える多少の「アチャー」なんて単なる誤差に過ぎないと思えるんじゃないだろうか。
その時僕はもうヨレヨレの爺さんだろうし、君たちだって立派な中年になってるわけだけど、君たちの投資がそんな誤差など気にならないくらい大いに報われている可能性は高いだろう。
つまり長期投資は多少の「アチャー」を「結果オーライ」にしてくれ、立派な中年の君たちに夢を抱かせ、納得ずくの投資を続けていく勇気をくれるんだと思う。
もちろん長く持てば持つほど価値が上がるものばかりか? と言われればそうではないものもあるはずだ。
長く持てば持つほど下がっていくダメダメな株式なんかもあるだろうね。でもそんな株式やそれらが入る投信は、長期投資がいいとか悪いとかの前に、そもそも買ってはいけない。長く持ってはいけない。
※本稿は、『投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話』(星海社)の一部を再編集したものです。
『投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話』(著:今福啓之/星海社)
資産運用業界で30年以上働く父から、娘たち夫婦へのお金の増やし方のアドバイス。
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