イライラの原因をひとつずつクリア

尚子さんは毎朝6時に起きるものの、出勤前の夫の段取りを邪魔しないよう、彼が家を出るまで自室で待機。夫が出かけてから、娘と朝食を食べている。

「夕食は夫と一緒に摂りますが、作るのはお酒のつまみ程度です。テレビで野球中継を観るのが趣味の夫は、冷や奴やもろきゅうなどをつまみに晩酌。私はテレビが嫌いなので、すぐに自室へ引っ込むことにしています。残業が多い娘は、ほとんど家では食べません」

土日は3食とも、各自で済ませるのがルール。家にじっとしていられない夫は朝から出かけ、尚子さんも友達と飲みに行ったりしながら、気ままに過ごしているという。

「夫の給与は妻が管理するという家庭が多いのでしょうけれど、わが家では財布もバラバラです。夫7割、私3割で家計を出し合い、一つの財布を作っておくだけ。各自買ったもののレシートをチェックして、家族に必要なものだと認められた場合のみ、家の財布から精算できるシステムにしているのです。足りなくなったら、また7:3の割合で補充する。こうすることで、金銭面でのストレスも解消することができています」

イライラの原因をひとつずつクリアして、快適な生活を手に入れた尚子さん。彼女を含め、今回話をうかがった女性に共通していたのは、「夫と物理的に距離を置くことで気持ちに余裕が出て、夫婦関係が良好に保てている」ということ。

来たる老後のスタートがストレス多きものにならないよう、夫が定年を迎える前に、少しずつ準備をしておくことが成功の秘訣なのかもしれない。

 


ルポ・悪戦苦闘の末、「家庭内別居」を選択した妻たち

【1】「昼飯は何だ?」定年夫との生活は安息の老後とは程遠く
【2】「家事を楽しんでいると思っていた」大嫌いな主婦業を卒業した日
【3】毎朝4時半に起床する夫。生活スペースも食事の支度も別に