鮨を食い、平穏な午後の時間が過ぎていった。阿岐本は奥の部屋から出てこず、日村はいつものソファでくつろいでいた。電話も鳴らない。
つい、睡魔が忍び寄ってきて、日村はうとうとしかかった。
インターホンのチャイムが鳴り、はっと目を覚ました。
稔が応対した。
「永神のオジキです」
解錠するとすぐにドアが開き、永神が事務所に入ってきた。血相を変えている。
「アニキ、いるか?」
「はい」
「えらいことだ」
日村はすぐに取り次いだ。
いったい、何事だろう……。