陸の作られ方

ここで世界のプレート分布を見てみよう(図1-4)。各プレートが様々な方向へ様々な速度で移動していること、プレート境界は、拡大境界、沈み込み境界、横ずれ境界に分類できることがわかるだろう。

(図1-4)世界のプレート分布(増田富士雄『地球を丸ごと考える 3 リズミカルな地球の変動』<岩波書店、1993>より引用)

沈み込んだ海洋プレートが放出した水によりマントルの一部が溶け、そのマグマによって密度の小さい地殻ができたり、もしくは地表に溶岩や火砕物が噴き出る(火山の噴火、図1-5)。また、一部の海洋プレートの沈み込み境界では、プレートに載って運ばれてきた堆積物や海溝に流れ込んだ砂などが、海溝の陸側にくっついて押し上げていく(付加作用:図1-5中の□部分)。そして、さらに、地殻が横方向から圧縮されると盛り上がる。以上が、陸を作る代表的な作用として挙げられる。そして極端に高い山の存在は、大陸地殻どうしの衝突によるものだ。現在もインドとユーラシア大陸は押し合っており、その結果、険しいヒマラヤ山脈がそびえ立つ。

(図1-5)島弧―海溝系の模式図(山崎晴雄『富士山はどうしてそこにあるのか──地形から見る
日本列島史』<NHK出版、2019>より引用し、一部修正)

陸を構成する地殻は地球全体で考えると密度が小さく、マントルに浮いている存在である。

仮に陸の表面が削られ少々薄くなったとしても、マントルとの新たな均衡を保つように陸が浮き上がる。そのようなわけで、雨風がせっせと陸を削ろうとも、地球に陸は残り続けているというわけだ。

『日本列島はすごい――水・森林・黄金を生んだ大地』(著:伊藤孝/中公新書)