土地の地質を見てみれば、先に挙げたどの作用により陸になっているか、知る手がかりになる。たとえば、地質図Naviの親サイト「20万分1日本シームレス地質図V2」(以下、シームレス地質図V2)で四国と中国を見てみよう。ここから、四国の南半分はきれいに東西に延びる付加体の縞でできていることがわかる(図1-6上)。すなわち、南半分は海溝の陸側にくっついた付加作用でできたものだ。南に行くほど岩石の年代が若くなることから、のちの時代にくっついたものとわかる。
一方、中国はがらっと変わり、付加体の分布は限られ、昔のマグマ溜まりやマグマ溜まりから噴出した火成岩類(図1-6下)からなっており、おもにマグマの働きによりできた陸であることがわかる。このようにわれわれが生活の舞台とし日々踏みしめている大地は、場所によってでき方やできた時代が大きく異なる。
※本稿は、『日本列島はすごい――水・森林・黄金を生んだ大地』(中公新書)の一部を再編集したものです
『日本列島はすごい――水・森林・黄金を生んだ大地』(著:伊藤孝/中公新書)
1万4千の島々が連なる日本列島は、ユーラシア大陸の東縁でその土台ができ、やがて分離。3万8千年前に人類が上陸し、歴史を紡いできた。変化に富んだ気候が豊かな資源を生み、国土を潤す。本書は、時空を超えて島国の成り立ちと形を一望し、水、火、塩、森、鉄、黄金が織りなした日本列島史を読み直す。天災から命を守り、資源を活かす暮らしとは。地学教育の第一人者が、列島で生きる醍醐味をやさしく解説する。