團子さんが『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル』で演じる小碓命(おうすのみこと)のちにヤマトタケル(写真提供◎松竹)

初めて歌舞伎の舞台を見たのは、小学校に入る前です。見得をしたり立廻りをしたりするのを見て、子ども心に「カッコいいなぁ」と興奮したのをよく覚えています。鼓や太鼓が体に響いてくるし、三味線や長唄なども、自然に耳に馴染みました。

日本の音楽を好きだと感じたのは、感覚的なものだと思います。ですから小学校1年の時、家族から「日本舞踊を習ってみないか」と言われた時も、まったく抵抗はなかったです。むしろ、自ら進んでやってみたいと思いました。

始めてみたら楽しいし、ちょっとした所作も、純粋にカッコいいと思えて。好きだなと思ったのを覚えています。ただし、まさか自分が歌舞伎の舞台に立つとは、その時は想像もしていませんでした。

それまで、世の中には歌舞伎というものがあって、「じぃじはその歌舞伎の俳優さんなんだ」と思っていただけでした。思いがけず自分がその舞台に立たせていただけることになり、純粋に「嬉しい!」という喜びでいっぱいでした。

初舞台でワカタケルを演じた際、祖父から「声を遠くに飛ばせ」と教えてもらったのですが、12年たった今回のお舞台で、その教えの重要さをさらに感じました。

たとえば悲しい場面で悲しい感情に浸りすぎると、客席の奥まで声を届かせることがおろそかになりがちですが、でもそうではなく、声を遠くに飛ばしてきっちり台詞を届けてこそ、感情の機微が伝わるのだと、腑に落ちました。