ゼロからこれだけの作品を創り出した祖父の力に、改めて圧倒されました。お稽古に入る前は、完璧に祖父の真似をすることがよいお舞台に繋がると思っていました。

でも先輩方から、「今の團子ならではのヤマトタケルを頑張るのが大事だと思う」と言っていただきました。僕は基礎がないので、皆さまに教えていただきながら、自分なりのヤマトタケルを演じようと思いました。

僕は20歳で、ヤマトタケルの等身大に近い年齢なので、そのことがこのお役に何かよい意味を付与できたらよいな、と。ですから今は、存分に動けるだけ動こうと思います。

感情面でも、若者らしさを表現したいと考えました。ヤマトタケルは父である帝(すめらみこと)から疎まれ、激動の人生を送ります。その時々でタケルは何を感じ、どう考えていたのか。20歳なりの解釈で演じてみようと思い、考えたことを台本に書き込みながら、役を掘り下げていきました。

後から祖父が後援会の会報誌にヤマトタケルの解釈について書いた文章を見て、僕と似た解釈があると、「あぁ、同じことを考えていた」と嬉しく感じました。

2月、3月と東京でのお舞台を演じさせていただいているうちに「このタイミングでは、まだこの感情は芽生えない」「ここでこう感情を表現すると、後にうまく続かない」と気づき、解釈が変わることがありました。

この後、名古屋、大阪、博多でも公演がありますが、タケルのお役がどれだけ成長できるか、挑戦し続けるつもりです。

<後編につづく