歌舞伎界のホープ、尾上右近さん。カレー愛をつづったエッセイ集「尾上右近 華麗(CURRY)なる花道」(主婦の友社)が4月出版される(撮影◎本社 奥西義和)

歌舞伎界のホープとして注目され、映画やテレビなどでも活躍する尾上右近さんは、カレーを年間360皿食べる。そんなカレー愛をつづったエッセイ集「尾上右近 華麗(CURRY)なる花道」(主婦の友社)が4月出版される。「なぜカレーがそれほど好きなのか」というと、「カレーと歌舞伎はものすごく似ているから」。本を出すに当たり、そのこころを聞いた。カレーの花道は歌舞伎への情熱につながっていた。
(構成◎山田道子 撮影◎本社 奥西義和)

カレーと歌舞伎はとても似ている

【「華麗なる花道」と「CURRYなる花道」。「かれい」をかけた絶妙なタイトルだ。カレーにこだわる理由だけでなく、歌舞伎や舞台など出演作品とカレーにまつわる思い出、最愛のカレー店、激推しレトルトカレーなどまで濃厚に記されている。】

「カレー」と「歌舞伎」の両方を楽しんでいただける本を出したいと、かねてから思っていました。テレビ番組などで「カレー好き」が知られ、いろいろ話をしている中、出版の話をいただき、本を出すことになりました。今、自分が生きていて一番感じていることを書籍に残すことは一つの区切りになったと受け止めています。

カレーの魅力にはまったのは、何より歌舞伎の道に入ったことが大きい。歌舞伎の舞台に立っている時には食事の時間が限られます。だから、ぱっと食べられるカレーはとても都合がよい食べ物なのです。大好きなお米、タンパク質や野菜など栄養もバランスよく摂れ、ワンプレートで完成されている。しかも、種類がめちゃくちゃ多いので飽きない。

東京・東銀座の歌舞伎座の近くにある「ナイルレストラン」という素晴らしいインドカレーのお店の存在は大きい。多くの歌舞伎役者がテイクアウトをしたり、食べに行ったりしています。僕がカレー道に引き込まれるきっかけとなったお店です。また、地方興行で全国を巡りますが、どこに行ってもあるのでその土地ならではのカレーを楽しめます。

歌舞伎を生活の軸として捉えているからこそ、いろいろな条件を満たしてくれる「カレーなる花道」にたどり着いたのだと思います。

本のタイトルは、カレーと歌舞伎がとても似ていることを込めたものです。何十もの候補の中で「これしかない!」とひらめきました。歌舞伎役者は花道から注目を浴びて舞台に登場する華やかなメージが強いですが、僕は自身を“雑草”だと思っています。だから、歌舞伎役者がカレーを語るギャップ、真面目なのか、ふざけているか、どっちもあっていいと伝えられるのもよいと考えました。

『尾上右近 華麗なる花道』(著:尾上右近/主婦の友社)