災害時の医療支援としても

現在、耳ツボ治療は、鎮痛以外にも薬物依存症やストレス性疾患など、さまざまな症状への導入や研究が進められていますが、なかでも注目されるのは、災害時の医療支援です。

(写真提供:Photo AC)

2010年に発生したハイチ大地震などでは、アメリカのボランティア団体が、ケガやストレスに苦しむ被災者の治療に耳鍼治療を行うなど、その手軽さと即効性が評価されているのです。

さらに耳ツボは、最先端の医療研究でも関心を集めています。

実は、耳には自律神経のひとつである迷走神経が分岐しているのですが、耳を刺激することで、迷走神経をコントロールできる可能性があることが示され、自己免疫疾患などへの新しい治療法の開発が進んでいるのです。

※本稿は、『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(講談社)の一部を再編集したものです。


東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(著:山本高穂、大野智/講談社ブルーバックス)

私たちの生活に身近なツボ・鍼灸・漢方薬。近年、そのメカニズムの詳細が西洋医学的な研究でも明らかになってきています。

・手のツボが便秘改善に効くのはなぜ?
・「長寿遺伝子」と漢方薬との関わり
・漢方薬が腸内細菌の「エサ」になる?
・免疫システムを「発動」させる鍼灸
・脳の「ドーパミン報酬系」に作用する鍼灸の刺激
・ツボに特徴的な神経構造を発見! など

解明が進む「東洋医学」のメカニズム研究最前線!まだ知らない「東洋医学」がここにある。