魂が入っている場所はきっと見せまい

毛沢東と周恩来に朱徳が一枚噛むと、もう話はメチャメチャ。その代わり腹が痛くなる程の爆笑が生まれる。世の中にマムシの朱徳ほどプロを笑わせる奴ぁいない。本物の朱徳は唯の馬賊の親分だろうが……。

書いてて何の紹介にも分解にもなってない。でもいい、山藤画伯が絵にしてる。これで充分、“文句がありゃ手前ぇで書きな”である。中尾彬、絵も文章もいけるはづだ。

家元、酒と安定剤で夜を過ごすのだから最後にゃベロベロ、で、ここでまた首相の世話になる。帰り道なので我家までTAXIで送って貰うのだ。

TVや飲んでる中尾は知ってるが、絵を描いてる処は見た事がない。どんな姿かネ、魂が入っている場所はきっと見せまい。

「ねぇ彬さんよ、印象派なんてルノアールでいいンだろ」

「正解てるよ」

といったっけ……。

※本稿は、『芸談-談志百選』(中公文庫)の一部を再編集したものです。

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芸談-談志百選』 (著:立川談志、イラスト:山藤章二/中公文庫)

「芸人」という名称に、芸事を演る人間は何故か惚れるのだ――。芸に生き、芸を愛した談志が「見事な芸人根性」を認めた百人を語る。志ん生、文楽ら噺家たち。ビートたけし、爆笑問題、ダウンタウンらテレビの人気者。若き日に惚れこんだ色川武大、森繁久彌。山藤章二画伯との名コンビで送る究極の芸人批評。〈解説〉立川志の輔