同じものを食べて、幸せを分かち合える

結婚したばかりのころは、必ずカミさんと朝ご飯を食べた。子どもたちが生まれて学校へ行っているときには、朝5時半から6時には起きて、俺も食事のしたくをしてきた。家族みんなが起きてきたら、全員そろって、顔を見合わせて、お祈りをするんだ。

「今日もこうしてご飯を食べられることに感謝しましょう」

手を合わせる。

俺はとくに決まった宗教を信仰しているわけではない。だから、空に感謝する。自分たちをこの世に生んでくれた親父、おふくろ、じいさん、ばあさんにお礼を言う。

お祈りを終えたら、おいしい朝ご飯だ。

同じ食事を同じテーブルで、同じようにおいしいと思えるのは、とても大切だよな。幸せなことだ。

同じものを食べると、食べ物の好みが近くなる。幸せを分かち合える。家族が絶対に仲よくなれるよ。

今はさ、夫婦で他愛もない話をしているよ。ご飯も一緒に食べるけれど、テレビも一緒に観る。報道番組で心温まる出来事を知ると、一緒によろこぶ。ひどい事件を知ると、一緒に悲しみ憤る。

『俺は100歳まで生きると決めた』(著:加山雄三/新潮社)